「右腕」を育てる 実践コーチング

優秀な人ほどナンバー2なら上位を狙う場合もあり、陰で支える役割への評価と処遇を考えないと、育てた挙句に追い出されるという事態もありうるし、そのことが本気の育成や登用を妨げているケースもあるでしょう。そこをどう信頼するかがポイントになりそうです。

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■右腕の6つの役割

1.サプリメント・・・トップの補完。トップが知らないこと苦手なことを補う
2.トランスレーター・・・トップの言葉をメンバーにわかるように咀嚼し伝え、実践させる
3.ショックアブソーバー・・・トップの言動に伴う社内の混乱を鎮める
4.リサーチャー・・・社内外の情報を集める。マーケティングの視点が重要
5.フィードパッカー・・・トップの間違いを指摘、苦言を呈する
6.アンブレラ・・・晴れていても常に雨の気配を察知、傘を手にして一歩後ろを歩く


■定期的フォローの際の4つの質問(1週間に1度右腕候補に答えさせてチーム全員にメールを送る)
この1週間の自身の仕事について
1.うまくいったことは何か?
2.うまくいかなかったことは何か?
3.うまくいかなかった原因は何か?
4.次の一手は何か?





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「マンネリ思考」を変えれば仕事はうまくいく!

筆者の指摘するような「思考習慣病」というよりは、パターン選択的教育しか受けられなかった事による「思考未発達」という状況の人の方が多いかもしれません。その場合、変えろと言われても変えられるポテンシャルが無いため、この書の方法では頭が真っ白になってしまうおそれもあります。それぞれの処方箋がかぶっているので、7つじゃなくてて3つくらいにまとめれば、広く意識させられると思います。

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1.前例依存症
(症状)「前例があるから」「皆がやるから」などに従おうとする「ミー・トゥー・アプローチ」にはまっている。
(処方箋)「場の設定」から始めよう!
場の設定とは、物事を考える時に「誰が、どこで、いつ」を明確にすること。それにより他との違いが明確に意識できる。

2.思考欠乏症
(症状)「マニュアル」等に依存してしまい、思考が欠乏している。
(処方箋)「目的は?」「その目的は?」を問う(目的展開の原則)
目的を拡大・最定義をすることで、対症療法ではない根本解決策を考えることができる。

3.未来喪失症
(症状)過去の原因を究明する「犯人捜し」ばかりで、未来の「恋人探し」を忘れている。
(処方箋)「究極の姿」からスタートする
未来から学ぶ「あるべき姿」の原則を用い、「ファンタジーフィクション」の世界で自由に考える。

4.氷山一角症
(症状)実際に見えているものしか考えず、目的、全体、関係性などを見落としている。
(処方箋)目的、相互関係、全体を観よう
「考える」とはね見えないモノを観ることである

5.情報肥満症
(症状)多量の情報で脳が疲労し、肝心なことに対して働かない
(処方箋)目的にあった情報を最小限集める
文字等に整理されたクール情報より、人の頭の中にあるホット情報を重視

6.慢性不信症
(症状)優れた企画でも人々が納得できなければ失敗する、巻き込みミス。
(処方箋)参画・巻き込みを図ろう
参画・巻き込みの2原則・・・変革の「気づき」を与える。「集合天才」を創る

7.変化恐怖症
(症状)「茹でガエル」よりも外の火が怖い「フライパンガエル」状態
(処方箋)コンポン、全体、未来から学ぼう
コンポンから考え直す。全体から物事を見る。未来から学ぶ。継続的に次ぎの手を打つ





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MBB:「思い」のマネジメント

感じる「思い・信念」に向かって仕事しようと提唱しています。例によって安易に「右脳」という単語で説明してしまったのは残念ですが、一般的なワークライフバランスについてここまで挑戦的な見解を提示したのはある意味画期的と言えましょう。

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■数字や理論だけの、いわば「左脳のマネジメント」は限界にきており、それだけでは経営は成り立たない。働く人の「思い」のこもった仕組みづくりが「右脳のマネジメント」つまりMBBである。(Beliefとは、思い・信念のこと)

■そもそも企業が「動機づけ」と称して、社員の創造性を使って引っ張り出そうとするのは間違っている。むしろ、もともと人が備えている創造性が解き放たれるように支援しなければならない。

■独りよがりの思いを持っていても、それは知の創造にはつながらない。他者と交流する中で知をぶつけ合って、組織的に知識を正当化して、より高質な知識を生み出していくことが重要である。

■思いの正当化の5基準
1.正義、普遍性、グローバル性を持っているか。
2.どこまでより大きな枠組み(地球、人類、世界、国、地域社会、会社など)に貢献しているか。
3.自分の生き方や人生観に根差しているか。
4.本質的な、新しい価値創造に貢献するか。
5.明るく、前向きで、発展性があるか(より良い社会像を目指しているか)

■仕事とプライベートを切り離してバランスを取る考え方は、思いを持って持てないような状況に社員を押し込んだがために発生した20世紀型のワークライフバランス論である。自分の思いに夢中になるのがMBB型ワークスタイルであり、自分の思いがあれば、全ての時間が勉強であり、思索の時間になりうる。





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佐藤可士和のクリエイティブシンキング

昨今の経済的・経営的停滞を打破できるのはロジカルシンキングではなく、クリエイティブシンキングだと思います。小さい頃から、答えを選択させる、覚えさせるようとするだけでなく、選択肢を考えさせ創りださせないと、創造力や疑問を持つマインドはなかなか育たないのと感じます。
天野祐吉氏の言として紹介されている「外見と中身を分けて考えている人がいるが、外見は中身の一番外側の中身なんです」は味わい深いです。

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■クリエイティブマインドを作る

・その前提は正しいか?
クリエイティブシンキングで最も重要なのは「そもそも、これでいいのか?」という疑問を抱くこと。

・人の話を聞く
問診力を鍛えるには、相手の「考え」を言葉にしてみること。

・悩んだら気持ちを書いてみよう
「考え」を言葉にするのは難しいのでトレーニングが必要。トレーニングは日々、気持ちや考えたことを言語化して書き出す習慣をつけること。
感覚的に処理していた「考え」や「気持ち」を言語化することで、抽象的な概念を論理的に組み立てていく能力がつく。
悩んでいる事を書き出すだけで解決してしまうこともある。

・見立ての習慣、身につけよう
普段の会話でも「これって××みたい」と別のものに喩えてみる。人に説明する時も喩えが的確なら伝わりやすい。

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■クリエイティブシンキング関連図書

クリエイティブ・シンキング―創造的発想力を鍛える20のツールとヒント
http://d.hatena.ne.jp/junya-aoki/20060911





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商品よりも、ニュースを売れ!

「知らないものは買えない」ので、まずはお客様に知らせることが必要です。商品販売も結局は見た目・機能・価格などを伝達することであり、ニュースはその方法論といえるかもしれません。結局は「ニュースを売るには価値ある商品が必要」という逆説的だけど当然な結論のようです。

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■情報連鎖を起こすきっかけとなる価値
1.企業や商品にストーリー性(物語性)がある。・・・プロジェクトXのような「人の物語」を
2.わかりやすい映像や絵になる情報がある。・・・テレビや雑誌には「質の高い映像や画像」を
3.具体的なエピソードや利用者の声がある。・・・実際のお客様の「いい話」を
4.多数、多層の情報価値が存在する。・・・経営者のカリスマ性や国際的評価など「見えざる付加価値」を
5.ジャーナリストを魅了する機能性がある。・・・報道する人にも役立つポイントを

■情報連鎖を起こす仕掛け
・報道が重視する客観性、数字やデータを用意しておく。
・生活者(顧客)に参加してもらい、語ってもらう。
・情報の送り手が求めるニュースのテーマを踏まえる。
・商品は機能だけでなく感性面(デザイン等)にも注力する。
・社内の窓口など、取材されやすい体制を作る。
・一企業の宣伝だと取り上げにくいので、業界で社会的価値として訴求。
・海外で認められると話題が逆輸入されやすい。
・報道人が加工しやすい情報素材と関連事例を用意する。
・他社とは異なる社会貢献で、独自性を打ち出す。
・取引先向けと顧客向けとHPを作り分け、更新度を高める。
・広報担当者だけでなく経営陣が参画し長期的な自社のストーリーを描く
・自社のイメージに合うメディアとの関係を深める。
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■著者関連サイト
http://www.sakaimitsuo.com/





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シリコンバレー流意思決定

新事業のアイデアを迅速に判断するため、また事業を起こそうとする人が見落としはないか、などを素早くチェックすることができる質問だと思います。初年度にとれるのはターゲット層の0.1%と決めておくことは、関係者が冷静に見ることができるので良い方法でしょう。

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■新規事業や新製品・サービスの成功条件を見る7つの質問

1.あなたの製品は何か?
新製品・サービスの特徴および具体的な数値目標を一文で説明できるようにする。

2.顧客は誰か?
顧客ターゲットはなるべく絞る。ターゲット市場が小さいほど売り上げは伸びやすい。

3.誰が売るのか?
誰に販売を任せるのかを決める。流通や販売を請け負う業者との話し合いが大切。

4.どれだけの人が買うか?
通常の見積もりは「ターゲット顧客(市場規模)×0.1%=初年度の予想売上」とする。

5.コストはいくらか?
どれだけの資金が必要か、儲けがでるのかを知るには、コストの正確な把握が必要。労働コスト等も忘れてはならない。

6.価格はいくらか
当初から価格を下げすぎていないか。ライバル社価格比100%(強気=品質優位)70%(通常)50%(価格破壊)

7.黒字転換はいつか?
創業後数年は収益よりもキャッシュフローを重視する。





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J.D.パワー 顧客満足のすべて

同じ仕事内容でも「どうすれば、すごいと言ってもらえるのか」を工夫する、というのは社外だけでなく社内でも効果があるかもしれません。

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■顧客は「推奨者」「無関心者」「刺客」の3つのカテゴリーに分けられる。

「推奨者」・・・企業、サービス、商品のファン(熱狂的な信者)になり、積極的に他人に薦める
「無関心者」・・単に最低限の満足をしただけで無関心・無感動、不便に耐えられず、他社からの勧誘にも弱い
「刺客」・・・・最低の期待も満たされず、しかも問題が適切に対処されない場合など、付き合わないよう説いて回るなど強いマイナスの主張をする

■企業の最大の課題は「無関心者」を「推奨者」に転換させることである。

顧客満足は「経営者によって決められたプロセス」と「従業員の接客内容」によって決まる。どちらに支障があっても不満客は生まれる。

■トラブルに巻き込まれた人々の多くが求めているのはお金ではなく、誰かが自分たちの苦痛を理解し、その立場を心から気遣ってくれること。

■顧客の声(VOC)を活用する際は次の3点に注力する
・顧客から的確な情報を収集する
・その情報を正しく分析し、それを利用する立場の従業員の手に確実に届ける
・そして、その情報にきちんと対処する





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